2023-01-01から1年間の記事一覧

2023年12月

12/1 キッシンジャー氏逝去 12/2 山田太一さん 山田太一「早春スケッチブック」 「岸辺のアルバム」「光と影を映す」 12/3 旧陸軍被服支廠 12/4 警察官の犯罪 12/5 流行語と死語 12/6 日大の危機 三浦朱門「さらば日本大学」 12/7 デジタル敗戦の効用? 12/8…

2023年11月

11/1 ハチ公の意味 11/2 袴田事件の決着へ 11/3 寂しい金利 11/4 大学入試改革 11/5 山椒魚の改稿 井伏鱒二「山椒魚」 11/6 阪神優勝と景気回復 吉崎達彦「1985年」 11/7 政治家の連呼 ドラマ「あまちゃん」 映画「Wの悲劇」 11/8 核兵器の使用を許すな 11/9…

2023年10月

10/2 科学者の偶然の発見 10/3 ジャニーズの名を忘れるな 10/4 逃げるは恥だが役に立つ ドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」 増田ユリヤ「世界を救うmRNAワクチンの開発者 カタリン・カリコ」 10/5 未知の研究に支援を 10/6 アイドルとしての美しさと誠実さ YO…

2023年9月

9/1 関東大震災の痕跡 9/2 西武百貨店の今後の店作り 9/3 水産物の地産地消 9/4 赤い応援団 9/5 窓際のトットちゃん続編 黒柳徹子「窓際のトットちゃん」 9/6 京アニ放火殺人初公判 映画「響け!ユーフォニアム」 9/7 資生堂元社長の福原義春氏 9/8 ジャニー…

2023年8月

8/1 科学を学ぶ意義 アンディー・ウィアー「プロジェクト・ヘイル・メアリー」「火星の人」 8/2 心が沈む大阪万博 8/3 タクシー運転手を守るために 内田正治「タクシードライバーぐるぐる日記」 8/4 大麻の誘惑 8/5 損保各社の過信 8/6 原爆投下直前 関千枝…

2023年7月

7/1 中野サンプラザ閉館 7/2 イスラム教徒の土葬問題 河瀬直美監督 映画「殯の森」 7/3 繰り返される豪雨 金子光晴「梅雨」 7/4 人類の進化と退化 日経新聞連載「テクノ新世」 7/5 お墨付きの効力 7/6 ロボットが守る農村の風景 黒沢明監督「七人の侍」 栗原…

2023年6月

6/1自然の脅威と人為災害 6/2 霧島の名 6/3 沖縄戦と豪雨 堤之智「気象学と気象予報の発達史」 6/4 この国を沈没させぬために 映画「日本沈没」 映画「ノストラダムスの大予言」 6/5 鬼退治の罪 ガチャリックスピン「カチカチ山」 芥川龍之介「桃太郎」 6/6 …

6/30 外国人との共生

渡会紗藍(とかいさらーん、チュープ・サラーン)さん(38)は、タイの難民キャンプで生まれた。5歳でカンボジア人の両親と来日し、外国人が多い神奈川県の団地で育った。自分と同じような子どもの学習を支援する団体「すたんどばいみー」を仲間と設立したの…

6/29 鉄道で思いを馳せる

2月に亡くなった松本零士さんは18歳のとき、ふるさと小倉から東京行きの夜行列車に乗った。かき集めた全財産は700円。ゆで卵を3つ買い、1つだけ食べた。車窓越しに人家の明かりや星を眺めながら家族の顔を思い浮かべ、漫画家として身を立てる覚悟を決めた。 …

6/28 中世の動乱とワグネル

先日からインターネット上に「御所巻」なるワードが飛び交っている。室町時代に大名たちが将軍の邸宅を取り巻き、あれこれ要求を突きつける騒ぎをこう呼んだという。受験生必携の山川出版社刊「日本史用語集」にも載っていない、マニアックな言葉である。 そ…

6/27 失われた色彩

野見山暁治さんは先の大戦で満州のソ連国境に配属された。雪、樹、霧。画家の目には色のない世界と映った。ある日、凍土にカーキ色を見つける。夢中で掘って現れたのはミカンの皮。色のある所へ帰りたい、そう思い涙したと綴った(「人はどこまでいけるか」…

6/26 育児はワンオペに向いていない

「人間の育児はワンオペに向いていない」。生物学者で学生時代に起業した高橋祥子氏の言葉だ。今春、愛読書のインタビューの折に聞いた。高橋氏は「こども未来戦略会議」のメンバーで、取材の数時間後には官邸での会議に赤ちゃんを連れて出席、話題にもなっ…

6/25 推し活の魅力

早稲田大学の演劇研究部が「推し活!展」という催しを開いている。アニメの登場人物や芸能人などを熱心に応援することを、「誰かを推す活動」から推し活と呼ぶようになった。若い人の自己紹介では自分の推す対象を語る人も多い。それだけ普及しているわけだ…

6/24 好奇心と人命

土星の周囲を回るたくさんの衛星の一つに「タイタン」がある。窒素を中心とした分厚い大気に覆われ、可視光で表面を見ることができないこの衛星には、ある特別な期待が寄せられている。太古の地球に似ており、生命が存在する可能性が指摘されているのだ。 好…

6/23 平和の杯

地方を訪れた際の楽しみは地元の食と酒である。先日出張した沖縄では泡盛を味わった。小さな居酒屋のカウンター。豆腐ようや島ラッキョウをさかなに伝統的な酒器カラカラで古酒(クースー)をちびり。口に含むと甘い香味が鼻に抜ける。つい杯を重ねてしまっ…

6/22 インドネシアに残った日本兵

「独立は一民族のものならず 全人類のものなり」。東京都港区の古刹、青松寺にこんな石碑がひっそり立つ。碑文を寄せたのは、インドネシア建国の父、スカルノ元大統領である。同国の独立に尽力し、当地で倒れた二人の日本人の遺徳をしのんで鎮魂の辞を贈った…

6/21 優生保護法の異様さ

「常習犯罪者は強制断種すべきだ」「悪質な遺伝因子を残さない制度が必要だ」。戦後まもない国会で、優生保護法の制定を訴える議員らが訴えたのはそんな主張だった。焦土の中で人口が急増することへの懸念もあり、貧困層は妊娠させるべきでないとの声すら出…

6/19 気づかない日本の魅力

都内でフォークソングなどに描かれることの多い街が高円寺だ。古アパートに若いミュージシャンがギターを肩に路地を歩く。「高円寺駅で降りることが誇りだった」。中島卓偉さんの歌「高円寺」の一節だ。吉田拓郎さん、竹原ピストルさんにも同名の曲がある。 …

6/18 仕事のやりがい

「課長、ヤリガイお磨きいたします!」。背中に大きな貝を生やした若手社員が上司の背中にとっついた貝をキュッキュとふき始める。自分のに比べてずいぶん小ぶりだが、実直そうな彼は気にしない。1985年ごろに流れていた求人誌のテレビCMである。 キャッチコ…

6/17 失われないアーティストの魂

ビートルズの解散後、何をすればいいのかわからずに、落ち込んでいた。ポール・マッカートニーはかつて英BBCの番組で、音楽そのものをやめようとさえ一時思ったと告白した。ずっと一緒だった仲間たちとの別れも響き、酒におぼれることすらあったという。 当…

6/15 図書館司書の物語

スポーツ選手や芸能人らの「名鑑」はなじみがあるが、こちらはやや意表をつく1冊だ。昨年11月に出版された「司書名鑑」。図書館を裏方として支える31人へのインタビュー集である。図書館との出会い、本を介した人との交流が個人の物語としてつづられる。 岩…

6/14 解散のタイギ

ニュースで「タイギ」を耳にする機会が増えてきた。「早期の衆院解散には大義がない」「内閣不信任案が提出されたら大義になる」。通常国会の会期末を前に、永田町に解散風がそよぎ始めたからだろう。この風が吹くと、しばしば「大義」のあるなしが議論にな…

6/13 クラウゼヴィッツ戦争論

攻撃は最大の防御、という。だがプロイセンの軍人クラウゼヴィッツの著者「戦争論」で、防御は攻撃より強力な戦争形式だと説く。攻撃側は侵攻を続けるために、大量の資源をつぎ込まざるを得ない。国民の支持も得て守りを固める防御側の方が有利との見立てだ…

6/11 偽画像合戦

「民主主義は効率が悪い」。そう主張し、独裁と核武装を掲げ誕生した政治結社がまず日本国内で支持を得て、やがて世界を混乱に陥れる。村上龍さんが1980年代半ばに発表した小説「愛と幻想のファシズム」のあらすじだ。舞台は数年後の近未来に設定していた。 …

6/10 天皇皇后両陛下の原点

結婚30周年を「真珠婚」と呼ぶそうだ。養殖真珠はアコヤ貝などの中に、別種の貝を移植する。自力で排出できない異物を、光沢のある分泌物で時間をかけて幾重にも包み込む性質を利用している。自らの痛みをやがて輝きに変える。真珠の美とは時の流れに宿るの…

6/9 マイナちゃんの混乱

目も耳も数字の「1」。マイナンバーをぐいぐい推してくるあのキャラは「マイナちゃん」というそうだ。デジタル庁はシロウサギの妖精と紹介している。我がスマホの中にも2匹(?)いる。ポイント申請やら何やらで必要というので、以前アプリを2つ入れたのだ。…

6/8 日本的雇用のルーツ

江戸時代には「長松」という名の丁稚がたくさんいたという。商家に住み込みで働く少年の代名詞になるくらい多かったそうだ。もっとも、そんな長松さんたちも手代になれば長吉、番頭に昇進すれば長兵衛などと名を改めた。じっと我慢の出世すごろくである。 奉…

6/7 花暦が狂う

1週間前、取材の合間に東京・日比谷公園に足を運んだ。今年は開園120周年とか。いま時分は春バラが見事だろうと期待したが、花壇はずいぶん寂しい。あらかた花びらは散り、しぼんでいた。例年よりも見ごろが2週間ほど早く、大型連休にピークを迎えたそうだ。…

6/6 生成AIの恐怖

20世紀最後の年。ホンダが二足歩行ロボット「ASIMO」を発表したときの記者会見は、当時のわくわくした気分とともに記憶に残る。背丈は小学生くらい。ずんぐりした体つき。腰を少し落とし気味に両手を振って歩き出すと、報道陣から歓声がもれた。 その姿が一…

6/5 鬼退治の罪

女性ロックバンド、ガチャリックスピンの「カチカチ山」が小気味いい。感情の揺れをリズムの緩急にたくみに乗せる楽曲と合わせ、ぐっとくるのはその歌詞だ。わずわらしい人間関係を昔話に例えて描く詞のトーンが、上司をやっつけて喜びたいと思った瞬間変わ…