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王将戦の羽生九段の指し手にAIだと第5候補くらいのものがあった。でもそれが後々勝負に効いた。

・米グーグルが鳴り物入りで公表した対話AIの回答が間違えていたことがニュースになった。

・所詮、AIは何も考えていない。過去の膨大なデータから「最適解」を導き出しているだけだ。

 

令和の王者と平成のレジェンドの対決。夢のカードがついに、と将棋ファンを熱くしているのが、今年の王将戦七番勝負だ。先日の第4局は藤井聡太五冠(20)が羽生善治九段(52)に勝利し2勝2敗のタイに。往年のスポ根漫画の最終話のごとく、盛り上がってきた。

棋士人工知能(AI)研究家の谷合広紀氏の興味深い解説が日経電子版に載っていた。羽生九段の攻め手には、AIの判断では第5候補くらいでしかない手があった。だが後々それが勝負に効いた。「AI研究が盛んだからこそ、AIが指さない手順を深く研究するという戦い方が有力になってきている」という。

AIネーティブの若者に、練達の士があえて仕掛けた戦法であったか。米グーグルが鳴り物入りで公表した対話AIサービスが回答を間違えたというニュースも、たまさか同じ日に目にした。最新鋭の宇宙望遠鏡による発見を9歳の子どもにも分かるように説明を、とのお題に、発見の肝心な内容に誤りがあった。

すぐさま天文学者たちが指摘して判明したそうだ。さもありなん。進化の勢いが猛烈なのでどこか錯覚しがちだが、所詮、AIは何も考えていない。過去の膨大なデータからそれらをつなぎ合わせて「最適解」を導いているだけだ。正解はどこかから探してくるものではなく創るもの。それこそ人間の営みではないか。