2/25 韓国の出生率低下

・韓国の2022年の合計特殊出生率は0.78に落ち込んだ。欧米や日本より突出して低い数値だ。

・漢江を見下ろす高級アパートに住むエリートと持たざる人々との溝は深い。大学を出て必死に働いてもマイホームは夢のまた夢。若者たちは結婚や出産をあきらめざるを得ない。

・日本はまだましなどと、勘違いしてはならない。それこそ異次元の少子化対策をともに探るべきだろう。

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「アパート」というKポップの名曲がある。1980年代にユン・スイルさんがヒットさせ、韓国では世代を超えて歌い継がれる作品だ。星が流れる橋を渡り、いつでも僕を待つ君のアパートへ。ここに出てくるアパートとは、日本でいうマンションのことである。

高度成長を遂げた時代に、ソウルの江南地区などには高級アパートが次々に出現した。この曲には、そんな暮らしへのあこがれがにじんていただろう。時は流れ、アパートだらけになった韓国だが価格高騰がすさまじい。大学を出て必死に働いてもマイホームは夢のまた夢。若者たちは結婚や出産をあきらめざるを得ない。

先日の発表では、2022年の合計特殊出生率は0.78に落ち込んだ。欧米や日本より突出して低く、国家消滅の危機が叫ばれるほどである。80年代に比べずっと豊かになり、民主化も進んだのに、漢江を見下ろす広い部屋に住むエリートと持たざる人々との溝は深い。出生率は24年に0.70まで低下しそうだという。

日本はまだまし、などと勘違いしてはならない。どうしたら危機を逃れられるか、悩みを共有し、それこそ異次元の少子化対策をともに探るべきだろう。そういえば、88年のソウル五輪のころ、取材で江南のアパートに住む若い夫婦を訪ねたことがある。2人は大いに未来を語った。働けば報われると言葉に熱を込めた。