3/17 日韓交流の20年

放映が始まるとすぐ、爆発的な反響が寄せられたという。ちょうど20年前の春、NHKの衛星放送に登場した韓国ドラマ「冬のソナタ」である。純愛ものの王道をいきながら筋立ては起伏に富み、運命の2人に涙したファンが無数にいたはずだ。ブームは翌年も続いた。

これがきっかけとなって、日本社会は韓国の大衆文化に親しむようになった。いまでは動画配信サービスに韓流ドラマがひしめき、Kポップや韓国グルメが若者をとらえ、小説もエッセイもどんどん翻訳される。コロナ禍を超えて、旅行者の往来も戻ってきた。「冬ソナ」からの20年は日韓交流がぐっと深まった歳月だろう。

かくも近しいこちらと向こうなのに、国と国の関係はぎくしゃくしっぱなしだ。近年は相互不信が大きく膨らんでいた。そんななかで、ようやく訪れた変化である。尹錫悦大統領が来日し、岸田首相と関係正常化を確かめあった。崖っぷちからここまでこぎ着けた外交シナリオ作りには、相当な苦心があったに違いない。

共作ドラマはスタートしたが、これから物語をどう発展させていくか。互いの疑心を解くために、まだまだ知恵が要る。よもやのどんでん返しは番組だけにしてほしいものだ。さて心配は横に置き、週末はコリアンタウンのにぎわいにでも触れてみようか。2つの文化の自然な融合が、この20年の意味を教えてくれる。