3/21 卵の選び方

近所のスーパーの鶏卵売り場に、見たことのないパックが並んでいた。北海道や富山など産地が異なるブランド卵の6個入り。酒かすを食べたり、イチジク畑で放し飼いで育ったりした鶏たちが産んだ。卵かけご飯を研究し、鶏卵の生産者を支援する団体の発案という。

1パックで900円超。ふだん手に取るものの3倍以上だ。それでもきめ細かい卵の説明や、「日本海食べてご卵」といったネーミングにひかれ、買って帰った。生食で風味を味わい、魚介類のうま味が売りの卵はしらすやあおさを入れて卵焼きに。賞味期限もバラバラな卵を選び出し、食べ方を考えるひとときが楽しかった。

日本卵業協会によると、卵1個あたりの生産費は約11円ほどで長らく推移。その7割近くが飼料代だった。大半を輸入に頼り、昨今のインフレでコストが大幅にはね上がった。猛威をふるう鳥インフルエンザも鶏卵の価格を押し上げる。鶏の健康管理に細心の注意を払いつつ、独自のエサ作りをする生産者にも逆風が吹く。

日本人が1年に消費する卵の数は1人337個で世界第2位。生食が多いせいもある。長らく値上がりしない「物価の優等生」だった。これまで手軽で重宝に使ってきたが、インフレを機に卵の選び方を見直してみようか。狭いかごで飼育しないケージフリーや手間暇をかけた実に多様な卵が津々浦々にあるのだから。