5/19 核兵器廃絶の決意

「外国人に人気の日本の観光スポット」というランキングを旅の口コミサイト、トリップアドバイザーが発表している。外国語による投稿数や内容をもとに毎年作成する。新型コロナウイルス禍の直前、2019年の集計結果を「20年版」として今もネットで公開中だ。

京都の伏見稲荷神社や奈良の東大寺を抑え、首位になったのが原爆の惨禍を伝える広島平和記念資料館原爆ドームなどを含む)だ。特に米欧の旅行者に関心が高い。英語版サイトの投稿をみると「歴史の恐ろしさを直視する場所」「最初は恐怖を感じ、核兵器廃絶の願いに変わった」とある。いずれも米国人の感想だ。

負の歴史の現場を訪ね、死者を悼み教訓とする旅をダークツーリズムと呼ぶ。大事故や災害の跡、元戦地、収容所などが対象になる。調査会社YouGovによれば、原爆投下について米国の高齢者の多くが謝罪不要とする一方、若者は「日本に謝罪すべきだ」が今や多数派だ。被爆地への訪問も変化を後押ししたろうか。

その広島できょう、主要7ヵ国首脳会議(G7サミット)が開かれる。安全保障も重要な議題の一つだ。もはや実際に使用されることはあるまいと思われていた核兵器。しかしロシアのウクライナ侵攻で、使用の可能性がささやかれ始めていると聞く。人類の悲劇の再来をどう避けるか、集まる国々の知恵と意志が試される。