5/26 こだわりの一杯

「G7広島サミットにおける食のおもてなし」という資料を外務省がインターネットで公開している。よりすぐりの材料を生かしたコース料理にワイン、日本酒、菓子。大手企業のボトル入り飲料はいつ誰が飲んだのか。旅の印象は飲食も大きく左右する。責任は重い。

コーヒーの欄をみると、「マウントコーヒー(広島市)」の「G7スペシャブレンド」とあった。店のサイトによれば参加国を含む7つの国の豆をブレンドしたという。野生動物と共存する環境での栽培。化学農薬を使わない。売り上げの一部を自然保護団体に寄付。そうした特徴を掲げている農園の豆を選んだそうだ。

厳選されたコーヒー豆を買い、自宅でこだわりの一杯を楽しむ人が増えている。近年のアルコール離れに加え、新型コロナウイルス禍による在宅勤務の普及も後押しした形だ。産地や銘柄、生産した農園の名を前面に打ち出した豆の販売店を街でよく見る。手ごろな価格でコーヒーを楽しめるチェーン系カフェも広がった。

そんな店やコーヒー愛好家の懐を原料の値上がりが襲う。きのう本紙が汎用コーヒー豆の国際価格急騰を伝えた。少し前の記事によれば高級豆も高値だ。産地の大雨や人手不足、ロシアのウクライナ侵攻による肥料価格の高騰が原因だという。食卓の向こうに変動する世界が広がる。食が発するメッセージに耳を傾けたい。