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全長120メートル超の巨大艦を中心に、計62隻もの大船団。乗組員は合わせて2万8千人に及んだそうだ。15世紀に中国を統一していた明の皇帝の命で、武将の鄭和が率いた南海諸国への大遠征である。計7度にわたり、インド、アラビア半島からアフリカ東部まで達した。

第4回の航海ではキリンを連れ帰り、人々を驚かせている。ヒトとカネもかけた大事業の目的は、ズバリ国威の発揚だったとされる。各国からの朝貢、すなわち貢ぎ物を通じ、中華秩序の確立を図ったようだ。かの国にとり、海洋への影響力の拡大というゴールは、時代を超えて、狙い続ける宿命にあるものなのか。

中国の王毅国務委員兼外相が、10日間の日程でソロモン諸島キリバスなど南太平洋の島しょ国を巡っている。気候変動への対策や防災面での支援などが約束されたようだが、さらに進んで今後、軍事的な協力へと広がる懸念が強まっている。識者は「米軍の行動を制約するための行動の一環」ともしており、目が離せない。

日本は米豪と足並みをそろえ、関わりを深めねばなるまい。中国も歴史に学び、自制が必要だろう。鄭和の遠征は幾多の交易品をもたらしたが、財政難も招いた。北方の防備は手薄になり、沿岸部では海賊がうごめく。明朝の国力は疲弊、滅亡の遠因をつくった。過ぎたるは及ばざるがごとし。古人も中庸を重んじている。

 

中国の王毅国務委員兼外相が南太平洋の島しょ国を訪問している。気候変動への対策や防災面での支援が約束されたようだが、軍事的な協力まで広がる懸念が強まっている。米国へのけん制の意味もあると識者は話す。日本は米豪と足並みをそろえ、関わりを深めるべきだろう。かつて中国を統一した明朝は中華統一を図って南太平洋に大船団を送った。多くの交易品をもたらしたが財政難を招き、北方の防備が手薄になったことで国力の衰退と滅亡の遠因になったともいわれる。中国は歴史に学び自制すべきだ。