2021-09-01から1ヶ月間の記事一覧

9/17

科学者にとって大がかりなシンポジウムに出席する意味は何か。立命館アジア太平洋大学の出口治明学長が知人から聞いた話を本で紹介している。有名な研究者の発表より、休憩中に旧交を温めたり、隣の人と情報交換したりすることでの刺激の方が大きいそうだ。 …

9/16

俳優の小沢昭一さんは典型的な「軍国少年」だった。金の指輪をお国に供出するよう母親をさとし、出征兵士の見送りも欠かさない。あこがれの海軍兵学校の予科に合格、天にものぼらんばかりに喜んだ。ところが初日からなんともいえない陰鬱な気分になったとい…

9/15

独裁者の最期は、こうなるのか。約30年、旧ソ連の指導者だったスターリンの新しい伝記の描写に、不謹慎ながら一幕の喜劇のようだと感じた。1953年3月1日。側近との宴会が終わり早朝に居住区へ戻るが、夕方になっても動きがない。護衛官は不安を募らせた。 し…

9/14

ダーウィンは22歳のとき、探検船ビーグル号で世界一周の旅に出た。太平洋上のガラパゴス諸島を訪れた経験がヒントになり、のちに「進化論」を唱える。イグアナ、ゾウガメなどが孤立した島で独自の進化をとげ、豊かでユニークな生態系を作っていた。 昨今、「…

9/12

昭和50年代の政界に「2年後に政権を移譲する」と記された密約文書があったという。当時、首相就任は確実とみられた福田赳夫氏から大平正芳氏への交代を約束していて、両氏の署名や花押もある。この「大福密約」、事実なら首相の座を私物化する由々しき問題だ…

9/11

20年前のきょう、リービ英雄さんは日本からニューヨークに向かう機上の人だった。作家は愛煙家だ。東海岸までの半日の禁煙はつらい。カナダの西海岸で乗り換え一服する旅にした。機内でアナウンスが流れた。「アメリカ合衆国は甚大なテロの被害者となった。…

9/10

「この紋所が目に入らぬか」。世直しの旅のあちこちで、悪人たちの所業をしかと見届ける黄門さまと助さん格さん。最後の最後に、葵(あおい)の御門の印籠を突きつけるシーンが待っている。ワンパターンとは知りつつも、あの胸のすくドラマに拍手を送った人…

9/9

東京女子大の1年生が、自信に満ちあふれた東大の男子学生に恋をした。その思いが一気に冷める瞬間を柴田翔の小説「されど われらが日々ーー」は描く。舞台は1955年。まだ学生の左翼運動が活発だった頃で、2人はそうした研究サークルの一つで出会った。 政治…

9/8

双六(すごろく)には昔懐かしい子どもの遊びのイメージがあるが、かつては賭博に使われることも多かった。起源の一つとされるのが古代インド。欧州に伝わると社会に浸透し、バックギャモンと呼ばれるようになった。日本には中国などを経て、6世紀ごろ渡って…

9/7

高峰秀子は学校にほとんど通えない少女時代を過ごした。のちに昭和を代表する女優となるこの人が、松竹蒲田の子役としてデビューしたのが5歳のときだ。昼夜をおかず働かされ、義母や親族らを養っていたという。周囲は撮影所の、世間ずれした大人ばかりである…