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NHKのドラマ「鎌倉殿の13人」に有力御家人の一人、三浦義村が登場する。鎌倉時代を舞台に傑作を著した作家の永井路子さんは、この武将をこう表現する。「権謀、といって悪ければ緻密な計画性に富み、冷静かつ大胆…」「およそ乱世の雄たる資格を余すところなく備えたこの男」「日本の生んだ政治的人間の最高傑作の一つ」。上皇側と争った承久の乱では寝返りの誘いも断り、幕府方で活躍。ドラマの主人公義時の死後は、重臣として政務な裁判をつかさどった。味方にすれば心強く、敵に回せば手ごわいナンバー2として生涯を送ったようだ。こんな懐刀がほしいと思うトップはそこそこいるにちがいない。例えば最大派閥の領袖を失い、政権のかじ取りが不安な首相とか。はたまた、招いた後継者候補が次々と去ってしまう精密モーター大手の最高経営責任者とか。切れ味を生かすも殺すもボスの力量次第である点をお忘れなく。(381文字)