4/20 2024年問題

学生時代、お中元配達のアルバイトをしたことがある。報酬は1個あたり百数十円。親に拝借した車にエアコンがなく、暑さに閉口した。当然カーナビもないので住宅地図が頼りだ。前夜のうちに配送ルートを決め、荷物の積み方を工夫するようになって少し効率が上がった。

困ったのは届け先の留守だ。できれば持ち帰りたくない。隣家の呼び鈴を鳴らし、おずおずと頼む。「お隣の荷物を預かっていただけませんか」。首都圏近郊でもこの手が通用した時代だ。いまはどうだろう。宅配ボックスが普及しても、再配達は重い負担になっていると聞く。全国の宅配便は年間50億個に迫る。

そんななかで迎える「2024年問題」である。トラック運転手の働き方が改善するのは朗報だが、30年には荷物の3割超が運べなくなるという民間の試算もある。企業間の物流だけでなく、私たちの暮らしを直撃することは間違いない。明日中に。配送料は無料。さて、身に染みついた手厚いサービスはいつまで続くのか。

近年、「ソーシャル・ロジスティクス」という概念が提唱されている。企業だけに委ねず、行政や消費者も物の流れにかかわることで社会全体の利益向上を目指す。そんな発想だ。個人でできることもたくさんあるだろう。まとめ買いやコンビニ受け取り。もしかしたら「お隣さん」の出番だって、あるかもしれない。