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きょう二十四節気(せっき)のひとつ「立冬」を迎えた。朝の冷え込みや日暮れの早さに、季節の移りゆきを感じる。「冬支度」という言葉がある。本来、晩秋10月の季語のようだが、現代では今時分から、防寒具を出したり、暖房器具を整えたりする方も多いのではなかろうか。

より寒さが厳しい地方では、強風が吹きつける窓をふさぎ、雪囲いを施す。「冬構え」というそうだ。私たちも、この2年弱、新型コロナの感染拡大という社会や経済の厳寒に向き合った。そして国が繰り出す支度や構えの恩恵を受けたり、時に振り回されたりした。そのおカネの使いようは、相当ずさんだったらしい。

会計検査院がこのほど公表した決算検査報告であげている。まず計上した65兆円のうち、およそ3割強にあたる23兆円が未執行、つまり使い残しとなったという。一寸先も分からぬ緊急時で多めに予算を確保せざるを得なかったとはいえ、効果の検証にスピード感が欠けてはいまいか。組み替えなど柔軟な対応も必要だったろう。

8千万枚超の布マスクの余剰は報道されたところだ。加えて「GOTOトラベル」のクーポンの不正や雇用調整助成金の過払いもあったと聞く。検証なきまま新たな経済対策に乗り出し、同じ轍を踏みはしまいか。感染が落ち着き、経済の体温は上がりだした。予算も成長の春に向け「コロナ太り」の解消のときである。