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科学や数学の世界ではギリシャ文字がよく登場する。3.1415…と続く円周率π(パイ)。10年前の原発事故時、α(アルファ)線、β(ベータ)線、γ(ガンマ)線の文字を度々目にした。Δ(デルタ)を見て変化を連想するのなら相当な理系人間と言えよう。

そんな人たちもあまり使うことのなかった15番目の文字「オミクロン」。瞬く間に世界に広がった。コロナの脅威恐るべしである。実はギリシャ文字を巡ってもう一つ気になるのは、厚生労働省が頻繁に更新するワクチンと接種後の死亡との関係を調べた資料だ。これまで亡くなった1360人余りを3分類で評価した。

因果関係ありが「α」、なしが「β」。ここまではいい。3つ目の「γ」は「評価ができない」。

150ページ超からなる一覧表を眺めてみると上から下まで「γ」判定のオンパレード。全体の99%を占めるから驚く。評価をするためにその道のプロを集めているはずが、評価不能とは矛盾していないか。首をかしげたくなる。

どうやらγの多くはβに限りなく近いようだが、科学で判定を下すのに必要な情報が医療の現場から上がってこないのだと聞く。そういえば国内の感染「第5波」が収まった謎解きも、データが揃わず専門家は手こずっている。そして未知が多いオミクロン株の登場。この国の医療のデータ力では、心もとない。