12/22

ユズの香るお風呂に、かぼちゃの煮物、小豆がゆ。コンニャクという所もあるようだ。きょうは冬至。ならわしやゆかりの食べ物には、邪気を払ったり、寒さに向けて不足しがちな栄養を補ったりする意味合いがあるらしい。お日さまの力が回復へと向かう節目の日だ。

この時期の各地の祭りにも、衰えた自然と人間の力を元通りにしようと願う神事が伝わる。長野県の南部、飯田市遠山郷では、大釜に煮え立つ湯を、てんぐの面をつけた氏子らが素手で周囲にはねかける。神々の再生をはかり、人々の厄を落とすという。豊かで安らかな日々への祈りが、古くからの所作にこもっている。

私たちの将来や暮らしを照らす日差しも、どんどん強まってほしいものだ。過去最大という約36兆円の補正予算が成立した。コロナ禍からの立ち直りと浮上を後押ししてくれると思いきや、バラマキ、便乗、行き過ぎといった財政規律の緩みへの批判の声がやまない。「来夏の参院選もにらみ」なんて枕ことばも目にする。

基金」の新設や積み増しで、監視の目が届きにくくなる恐れがあるとも聞く。首相が看板とする「新しい資本主義」どころか、古い邪気が落ちていないようである。間もなく来年度の予算案も固まる。冬至でリセットして、ほこりを掃き出し、臨んでほしいものだ。一句をいましめに。煤(すす)掃きや賑(にぎや)かにしてはかどらず(孔甫)