1/6 生き残るウイルス

山奥へクリ拾いに行った寺の小僧さん。恐ろしい山姥に縄でくくられ、食べられそうになってしまう。そこで、出かける前に和尚からもらった特別なお札を使うことにした。東北などに伝わる昔話「三枚のお札」である。アニメで見てドキドキした方も多いだろう。

効き目あるお札のおかげで小僧さんは山姥の追跡をかわし、何とか逃げ帰る。聞いている子どもらもホッとする場面だ。ところが令和4年、まだ松の内の現実は、ウイルスに追われ、安堵どころではない。数々の「切り札」をものともせずに、姿を変えた新型コロナの波状的な攻勢が、また強まりつつあるらしい。

新たな感染者は5日に2千人を突破し増加の勢いが止まらない。うち623人を数えた沖縄県はまん延防止等重点措置を国に要請すると聞く。時計の針が逆戻りしたかのようである。新たな変異型は、感染しても大半が軽症とされているが、陽性者が膨らめば、昨夏のように必要な医療を受けられない人が多数出かねない。

3回目のワクチン接種の前倒しや、飲み薬の供給といった対策に加え、密の回避や手洗いといったの基本も忘れずにいたい。ちなみに冒頭の山姥は、和尚に「豆に変身してみろ」とおだてられ飲み込まれてしまった。それに比べウイルスは生き残りの戦略を備えているようである。「めでたし、めでたし」は、まだ遠そうだ。