2/25 プラスチックの今と昔

いまから半世紀以上前、1968年の週刊少年マガジンに「未来新聞」という特集が載った。21世紀の暮らしや技術を占うこの企画にあったのは「ハラペコ食品会社で、おいしい人造肉を売り出した」との一文。植物のタンパク質を原料に、大量生産を実現したという。

植物由来の代替肉が注目される今日を言い当てたような予想に感心していると、続く内容に目を引いた。牛肉の歯ごたえに似せるため、プラスチックを混ぜてある。64年出版の「プラスチックス」(井本稔著)がこの素材に囲まれた暮らしを「新しい生活様式」と表現したように、イメージはずっとポジティブだった。

両者の扱いは環境問題をめぐっていまや対極にある。植物肉は、土地や水をたくさん使う畜産を補う食品として期待される。かたやプラスチックは、大量に廃棄されるゴミをどう処理するかで、以前と比べて肩身が狭くなった。海のプラスチックのゴミ問題に関するルールを作るための国際的な論議も近くスタートする。

それにしても、と現実に照らしてため息が出るのは特集が描いた未来の明るさだ。「ロケットで米国の学校に通学」「子どもが乗れる人工の雲」。無限の夢を持てるのが子どもの特権なら、それを可能にする世の中をつくるのは大人たちの重い責務だ。持続可能な地球環境も、そしてなにより軍靴の響かない平和な世界も。