2/24 ロシアの国民性

白、青そして赤と3つの色が並ぶロシア国旗は17世紀末のピョートル大帝の時代に、定められたとの説が強い。軍事や行政で西欧化を推し進め、列強の一角に食い込んだころだ。その後、18世紀の女王エカテリーナ2世によって領土はさらに広がり、帝国は強大化した。

ちなみに旗の白はベラルーシ人、青はウクライナ人、青はロシア人を示しているという。最近では歴史書を読みふけっているというプーチン大統領、かつて強権で国を拡張していった王たちに魅入られたかのようである。ウクライナ東部の親ロシア派が支配する地域の独立を承認し派兵命令を下した。世界が身構えている。

「ロシアはヨーロッパだ」。ある学者は、そう唱える。住民の多くはキリスト教徒で、著名な音楽家、作家は西欧の大家と影響しあい、科学も重視されているゆえらしい。だが、最も大切な自由、平等の理念、人権擁護の姿勢が、なかなか根付かないのはなぜだろう。情報機関出身で警戒心の強いトップも理由のひとつか。

長年ロシアに暮らし通訳なども務めた寺島儀蔵さんは手記で人々をこう評した。「おおらかで人種差別も少なく、親しみやすい」。侵攻、衝突などの物々しさには縁遠そうな国民性に望みを託したくなる。力による現状変更の試みに限界があることはロシアの長い歴史が示す。大統領は過去の教訓も真摯に学んでほしい。