3/9 マイナンバーカード

「デザイン経営」という言葉を、しばしば耳にする。特許庁のホームページによれば「デザインの力をブランドの構築やイノベーションの創出に活用する経営手法」。かみくだいて言えば、おしゃれな感覚でモノやサービスや新しい事業を生み出すことだろう。

そういう流れとは縁遠いのが、政府がデジタル社会の基盤と位置づけるマイナンバーカードである。相変わらず普及が進まないと聞き、手元のカードを眺めてみれば…。わが顔写真のせいばかりでなく、カード全体のピンクの色合いも、手書きの有効期限も、変更した住所などを記す大きな欄も、こりゃイケてません。

個人番号を隠すビニールシートがまたダサい。などと悪態ばかりつきたくないが、とにかくこのプロジェクトにはデザインという概念がないらしい。もう少しカッコいいカードなら人気がでるのに、とつくづく思う。そういえば、手続きが面倒臭いポイント付与で普及率を上げようという施策自体、おしゃれじゃない。

キャッシュレス化が進むなかで、カードの世界はどんどん進化している。券面に番号がないクレジットカードや、カード自体を発行しない「カード」も出てきた。そういう時代に、どうもピントのずれたマイナンバー制度なのだ。今からでもデザイン経営に取り組んでほしい。いやその前に、経営という意識を持ってほしい。