3/21 まん防解除

各地から届き始めた桜便りにせかされて、おととい近所の公園に足を運んだ。東京の開花宣言に先んじて1輪、2輪。控えめな花びらが見える。「三日見ぬ間の桜」と言うように、咲き始めてからは俊足だ。1週間もすると、あたりは笑顔と歓声で満ちるのだろう。

ソメイヨシノは冬が厳しいほど、春の訪れに敏感に反応する。札幌と奄美大島で冬を過ごした枝を同じ温度に置くと、北国育ちの方がいち早く咲くそうだ。夏にできたつぼみは秋に固い芽に覆われる。気温が下がると、そのなかで特定の物質が分解され、開花の準備を始めるのだという(田中修著「植物はすごい」)。

桜の時期に合わせるかのように、まん延防止等重点措置が解除される。居酒屋の営業時間が延びるのは、店で働く人だけでなく、飲んべえにも朗報か。入場制限を緩和した遊園地にはにぎわいが戻るかもしれない。だが新規感染者数はいまも万単位。次の流行が懸念されている。治療薬が行き届いたという話も耳にしない。

経済や暮らしを立て直しつつ、ウイルスに対する守りを怠らない。そんな不自由な日常がこれからも続くのであろう。コロナ下でめぐってきた3度目の春。今年も花見宴会の自粛を求めたり、関連イベントの中止を決めたりした地域が多いと聞く。いましばらくは、つぼみの中でしっかり目覚めの準備を続けるとしよう。