3/22 ウクライナ側に立つ市民

「どっと寄せられました」。先週土曜日の本紙「俳壇」欄で、選者の黒田杏子さんが評を記していた。「みなさん、ウクライナの側に立たれているのです」。選ばれた12の句それぞれがロシアの侵攻を指弾し、行く末を案じつつ、一刻も早い平和を願っている。

竹の秋被爆国こそ立ち上がれ」。竹は根っこに養分をたくわえるため、春に葉を枯らす。やがて出るタケノコのように日本も強く訴えて、との願いだろうか。「戦車キエフへ逃げ水を踏み散らし」。陽光に暖まった肥沃な大地の上を、冷たくて重たい車両が進撃する切ない情景を思わせる。

投句した方々と同様、各国の無数の市民がウクライナ側に立って、日々、形勢に心を痛めている。南東部の都市マリウポリでは劇場が空爆され数百人が生き埋めになっているとされ、加えて400人近くが避難していた美術館も攻撃を受けたという。30万人が孤立する街を巡り、ロシア側が降伏の要求を突きつける事態だ。

探知されにくい極超音速兵器が使用され、生物・化学兵器の投入も心配される。日本が桜色に染まっていくのに、かの地には焦土が広がってしまうのか。「寂聴尼逝き反戦の春にきたる」。「いい戦争などない。全て人殺し」。90歳を超え、語り続けた作家。私たちにバトンは託されているのかもしれない。