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「復職おめでとう、いや、ありがとう、ですね」。食品宅配大手オイシックス・ラ・大地の「復職式」を先日、見学した。高島宏平社長の感謝の言葉から式は始まる。育児休業から復帰する男女12人の社員を歓迎する場で、今年が6年目。近年はオンラインで開催する。

単なる儀式ではなく、復職者の不安を取り除くのが本当の目的だ。社長や先輩社員から助言や失敗談が続く。仕事も家事も満点でなく合格点で良し。部屋なんて散らかっていてもOK。「長い目で見て仕事を継続してほしい」という社長の言葉は本心だろう。育てた人材を失うのは企業にとっても大きな損失になる。

女性が働き続けることには今も壁がある。産業医矢島新子氏は著書「ハイスペック女子の憂鬱」で、セクハラなどとともに育児休業明けの「復職恐怖症」を挙げる。仕事のスピードや休業中の変化についていく不安。夫と分担するにしても大変だろう育児との両立。さまざまな理由からキャリアを断念する。惜しい話だ。

文部科学省厚生労働省がきのう、今春の大学卒業生の就職率を発表した。男子が94.6%に対し女子97.1%と、昨年に続き女子学生の方が高い。若い世代の前向きな意欲を応援し、壁があるならどんどん取り除いていきたい。企業の仲立ちで助言を望む若い社員を先輩社員とつなぐ冒頭の試みも、そのひとつといえる。