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赤毛のいたずら娘が活躍する児童小説「長くつ下のピッピ」。著者のA・リンドグレーンさんはこの楽しい物語を思いついて娘に語り聞かせながら、スウェーデンの戦時の生活を日記に書いていた。後の著書「リンドグレーンの戦争日記 1939-1945」である。

ナチスによるポーランド侵攻とほぼ同時に、ソ連スウェーデンの隣国フィンランドに攻め入る。しかし装備不足のうえ粘り強い抵抗に合い、酷寒の地で多くの戦死者を出した。各国が北欧の小国の健闘をたたえ、米国は同国の戦争債権を放棄。リンドグレーンさんの母国も大量の衣類やお金を集めて送ったという。

開戦当初の描写はいまのウクライナ侵攻の始まりとそっくりだ。英首相チェンバレンは「責任はただ1人の男の肩にかかっている」とヒトラーを非難した。しかし世界は独裁の台頭を許し開戦を防ぐことはできなかったのだ。主婦だった著者は新聞や本の情報をもとに、非常時に塗り替えられていく日常を驚くほど冷静に記した。

中立国スウェーデンは戦火をまぬがれたが、半ば公然とユダヤ人を差別していたことも日記は明かす。ピッピは乱暴で行儀も悪いが、火事から男の子を助け出し、いじめっ子をやっつける。確たる意志をもち、何が正しいことなのか自ら考え行動する大切さ。戦時の真実を見た著者の強い思いがピッピを通して訴えかける。

 

長くつ下のピッピ」の著者、A・リンドグレーンさんは、「リンドグレーンの戦争日記 1939-1945」という著書も書いている。ナチスポーランドに侵攻したのとほぼ同時にソ連フィンランドに攻め入る。日記は隣国スウェーデンから見た戦時の日常を驚くほど冷静に記す。フィンランドへの侵攻の始まりはいまのウクライナの状況と似ている。長くつ下のピッピは火事から男の子を助け出し、いじめっ子をやっつける。確たる意志を持ち自ら考え行動する大切さをリンドグレーンさんはピッピを通して訴えかける。