7/7

近くにあるJRの駅の周りに、短冊でいっぱいになったササが何本も飾ってあった。健康や受験、恋愛に関する定番のたくさんの願いごと。「ウルトラマンになりたい」は映画の影響か。そんな中で時節柄目立ったのが、「世界が平和でありますように」という言葉だ。

ところが現実の世の中では、平穏な生活が突如脅かされる。米イリノイ州でパレード中に銃の乱射事件が起きた。「泣くことも人が死ぬこともうんざりだ」「銃をなくそう」。警察に拘束された黒人青年が移送中の負傷で死亡し、抗議デモが2015年に起きたとき、米国のミュージシャンのプリンスさんはこう歌った。

その翌年この世を去った音楽家の祈りもむなしく、世界にはいまも理不尽な暴力があふれている。米国でくり返し起きる銃乱射事件だけではない。4ヵ月あまり前にウクライナで響きはじめた砲声も、なお鳴りやむ気配はない。そして私たちは戦火で破壊しつくされた風景が、暗くてモノトーンであることに改めて気づいた。

プリンスさんはグラミー賞の授賞式にプレゼンターとして出席したとき、「アルバムはいまも重要だ」と訴えた。それぞれ個性豊かな曲にじっくり耳を傾けてほしいとの思いからだ。オレンジやピンク、黄色など色とりどりの短冊には「すべての願いがかないますように」との言葉もあった。もう灰色の世界は願い下げだ。

 

近くにあるJRの駅の周りに、短冊でいっぱいになったササが何本も飾ってあった。願いごとで目立つのが、「世界が平和になりますように」という言葉だ。世界には理不尽な暴力があふれている。米国でくり返される銃乱射事件、ウクライナで響く砲声。戦火で焼き尽くされた光景は暗くモノトーンである。一方、冒頭のササには色とりどりの短冊が並ぶ。「すべての願いがかないますように」との言葉もあった。灰色の世界はもう願い下げだ。