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寺田寅彦は「芸術にはそれぞれ国民の国民的潜在意識がにじみ出ている」とし、例として映画を挙げた。物理学者であり、随筆家でもあった彼がそう記したように、各国の映画にはそれぞれ違った魅力がある。とりわけ印象的なのが、インド映画の「ハーフバリ」だ。

古代の英雄を描いたこの大作は4、5年前に日本で前後編が公開された。S・S・ラージャマウリ監督はヒットの要因として「実人生では決してなりえないような憧れのキャラクター」(ユリイカ2018年6月号)を挙げる。映画に共通の特色だろうが、こんなスケールの叙事詩を邦画で探すのは少し難しい。

人口にもとづく世界の勢力図が大きく変わろうとしている。グローバル経済で長年需要を生み出し続けてきた中国は「一人っ子政策」などが響き、世界一の座からついに滑り落ちる。国連の推計では、23年には代わってインドがトップに躍り出る。その人口は今後も増え続け、17億人近くになる見通しという。

膨大な数の人民を背景に力を増した中国はこの先、勢いを失っていくのだろうか。代わるインドは混迷を深める世界でどのような個性を発揮するのか。ここ数年、私たちは歴史の節目ともいうべき出来事をいくつも目の当たりにしてきた。日本を取り巻く情勢は今後も変貌し続ける。発信すべき魅力を見つめ直したい。

 

人口にもとづく世界の勢力図が変わろうとしている。グローバル経済で長年需要を生み出してきた中国は「一人っ子政策」などの影響で、ついにトップから滑り落ちる。代わってトップに躍り出るのはインドだ。23年には中国を追い抜き、さらに人口は増え続け、17億人近くになる見通しという。膨大な数の人民を背景に力を増した中国は、今後勢いを失ってしまうのか。代わるインドは混迷を深める世界でどのような個性を発揮するのか。日本を取り巻く情勢は変貌し続けるが、発信すべき魅力を見直したい。