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被爆から77年。原爆ドームのモニュメントとしての価値は一段と高まっている。核を弄ぶ権力者のどんな詭弁も、ドームの厳粛な無言を前にむなしく響く。原爆ドームは1950年代、取り壊しの議論があったが、建築家の丹下健三はここを起点に「平和の軸線」を定め、平和記念資料館や原爆死没者慰霊碑を配置した。軸線のずっと南の街外れには広島環境局中工場がある。丹下の弟子、谷口吉生氏が設計したゴミ処理場だ。ガラスの通路の向こうに海がきらめき、混沌から再生を感じさせる空間である。「残骸」から希望をくみ取る英知をヒロシマは宿している。(256文字)