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先の大戦を顧みるはずの夏にあちこちで炸裂音が響く。中国軍は沖縄のすぐそばの海で弾道弾を放った。戦禍はひそやかにしかも急速に近づいてくるのを痛感する。かつて「人生二十五年」という標語があった。特攻や米兵との刺し違えで君らは20歳前後で死ぬだろう、それを前提にしたスローガンだった。日本人の寿命はせいぜい25年、本土決戦で死んでも当然と思え。そんな国のかじ取りが成り立つわけがなかった。戦後77年、日本は世界一の長寿国となった。平和が培った長寿だろう。それにしても生まれた時代で人の未来の可能性がまるで変わる。戦争の罪深さに改めておののく。(268文字)