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女性の報道写真家の草分けとして激動の昭和期を記録し続けた笹本恒子さんが15日、107歳で亡くなった。子どもの頃、外で見つけた「戦争反対」と書かれ垣根に貼られた赤い紙を1枚持ち帰り母に見せると、「みんなはがして捨てなさい。主義者のしたことだから」と怒られた。大人は「社会主義者は怖い、悪い」と決めつける。戦争こそ人殺しで悪いことだ。それなのになぜ戦争に反対する彼らが悪いのか。人生はじめての疑問はいつまでも頭に残ったという。「戦争は二度とごめんです」。「一生懸命、働いて、働いて、日本の戦後復興を支えた一部だったと自負している」と自著に書き残し、終戦記念日に逝った。いまの日本は笹本さんが目指したとおりの姿になったろうか。(310文字)