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長い夏休みが終わり、新学期を迎えた地域もある。久しぶりに教室で会う級友と、おしゃべりがしたい。そう思える児童生徒は幸せだ。学校でつらい経験をしてきた子どもにとって、夏の終わりは追い詰められたような気持ちになる。作家の平野啓一郎さんは個人には一つの人格が備わっているという理解を疑う。そして対人関係ごとに複数の「本当の自分」があると述べ、自分の様々な顔を「分人」と定義する。他者との関係性のなかで、新しい自己を築くことができるのだ。いじめられている自分は恥ずかしい。価値がないのではないか。だから、周囲に相談もできない。大人も含め、そう思い悩んでいる人もいるだろう。でも、自身を肯定できる新たな人間関係が未来に待ち受けている。世界も私も、一色ではない。(325文字)