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角川書店の創業者である角川源義が出版事業を通じて美しい日本、なつかしい日本を人々に語りかけたい、と思い立ち会社を興したのは1945年のことだ。その息子は、あの夏の祭典で経営者として大切な何かを見失ったのか。東京五輪汚職事件で角川歴彦KADOKAWA会長が逮捕された。誰もが名を知る大企業のトップが続けて罪に問われる事態は異常であろう。本人は不正を否定するものの、国を挙げてのイベントに疑惑の目が集まる状況は「美しい」とは言い難い。そういえば最近は耳にしなくなったが、五輪前にはレガシーなる言葉が喧伝された。なんとまあ、とんだ遺産が隠されていたものである。もっとも、この言葉には「時代遅れ」という否定的な意味もある。権力をかさに私利私欲にはしる代官と、こっそり袖の下を通す大店の旦那衆。そんな場面を想像するに、こちらの方がぴったり合いそうだ。早く更新せねば。