10/30 燃料費高騰の不安

液化天然ガスLNG)の輸入が始まったのは53年前だ。マイナス600度でガスを液体にし体積を600分の1に。それを石油のようにタンカーで運び、ふたたび気体にし都市ガスや火力発電の燃料とする。簡単にパイプラインを敷けない、島国ゆえの苦労である。

横浜にある受け入れ基地を見学したことがある。超低温の冷気を使った水産物の冷凍倉庫が敷地内に併設されていた。だいぶ上がったとはいえマイナス60度である。中に入らせてもらうと分厚い防寒着でも1分と耐えられない。エネルギーを確保するために膨大な手間や高度な技術がいることを、鳥肌を立てつつ実感した。

ロシアによるウクライナ侵攻でLNGを含む資源価格が高騰し、世界中の暮らしを直撃している。日本もしかり。試しに我が家の電気料金をみたら、去年に比べて3割近く増えていた。これから暖房費がかさむ季節がやってくる。夜の訪れも早い。疲れた体を癒やすには熱々の風呂にもつかりたいところ。さてどうしよう。

政府が電気代とガス代を少し負担してくれるそうだ。ありがたい。これで財布は温かくなるだろうか。でもよく考えれば、財源の大部分は国債だという。一部をツケ払いにしたようなものではないか。この先、値上がりがどこまで続くかも分からない。今年の木枯らし1号はまだだけど、底冷えするような不安が拭えない。