11/28 気軽な上映会

先日、仕事帰りの夜に小さな映画の上映会に参加した。向かった先は東京・神楽坂の路地裏にある、民家を利用した交流スペース。靴を脱いで玄関をあがり、ストーブで暖まった板の間に足を伸ばし座る。マグカップのコーヒーなどを手にする、この日の観客は4人だ。

上映されたのは「聖者たちの食卓」という記録映画。巡礼者や旅人に1日10万食を提供するというインドの寺院の日常が映される。おびただしい数の信徒らが一枚一枚、薄パンをつくり、カレーを煮込み、食器を洗って掃除をする。すべてが手作業だけれど、ムダがない。みな無償の労働をゆったり楽しんでいるように見えた。

実はこれ、10年以上も前に製作され、劇場公開も終えた映画だ。すでにDVDや配信サービスでも見られる。話題の映像をいち早く、早回ししてまで鑑賞する「ファスト」ばやりに、何ともスローな上映会といっていい。都内のカフェなどの片隅で、その場に合った1本を5人から15人ほど相手にかけるというのだから。

映像関係が本業のちゃっぴーさんがはじめた「cafe de cinema」。いつもの店にふらっと入ったらやっていた。それくらいの気軽さで楽しんでほしい。声をかけられるまま機材を持っていき、100回超開いた年もある。今年もミニシアター閉館が続いたが、肩の凝らない映画との出会いも確実に生まれた。