12/7 御免芸

「ごめんね」っていうと/「ごめんね」っていう。この2週間ほど金子みすゞの詩のように「ごめんなさい」が日本列島にこだましていたのではないだろうか。そのひと言の先にはサッカー日本代表森保一監督、そしてフィールドを縦横に走り回る選手がいた。

開幕前の下馬評は高くはなかった。加えて予選リーグの対戦相手は強豪ぞろいだ。初戦での金星には「勝利を疑ってごめんなさい」。そして勝ち点を信じた次戦でのまさかの敗戦。厳しいバッシングもあった。それでも諦めずに「スペインには敵わない」の予測を覆した。またもや信じきれなくてごめんなさい、である。

なんと幸せなおわびの連続だっただろう。SNS上のつぶやきには、「ありがとう」や「がんばれ」の気持ちが多分に含まれていたに違いない。きのうの試合、またしても高い壁にはね返されたが、向こう側をのぞくくらいまでには跳べたのではないか。うなだれることなく、胸を張った姿が似つかわしい。

ごめんはもともと、許可を与える行為を敬った言い方である。「御免芸」という言葉もあって、日本国語大辞典によると「天下一品の名人芸」を意味するそうだ。カタールで磨いた御免芸を昇華させ、4年後には未知の地平を見せてくれるはず。と、少々押しつけがましい願望を書いてしまった。ごめんなさい。