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気候変動という言葉を頻繁に耳にするようになった。自然の脅威がかつてなく増したように感じるが、昔の災害もなかなかすさまじかった。1951年2月14日から15日にかけ、強風を交えた大雪が日本各地を襲った。「白魔荒れ狂う」。そんな見出しが弊紙で躍った。

東京で警報が出され、線路に積もった雪を取り除こうとラッセル車が出動した。東京証券取引所が臨時で休業した。災害のせいで休むのは関東大震災以来という。船の遭難も相次いだ。レースが中止になり、騒ぎになった競輪場もある。都内の遊園地からは北海道産のヒグマが逃げ出して、雪のなかで警官隊に射殺された。

10年に1度という最強寒波が流れ込み、日本列島が震えている。あちこちで気温が氷点下になり、きのうは200を超える空の便が出発を見合わせた。雪で立ち往生した車もたくさんある。アスファルトが氷で覆われる「ブラックアイスバーン」も心配だ。思わぬきっかけで被害が広がる恐れは、令和のいまも変わらない。

過酷な自然から身を守るすべは、以前と比べてずっと発達した。暖を取る手立てが火おけぐらいしかなかった時代、清少納言は「冬は、いみじう寒き」としたためた。科学は確かに進歩した。それでも平安の随筆の達人と違い、凍える冷気を歓迎する境地にはまだたどりつけそうにない。なお続く底冷えの毎日にご用心を。