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・梅が見ごろだ。梅は中国原産で愛でる風習も中国から伝わったといわれる。

・古来日本をはじめ世界に豊かな文化を送り出した中国だが、近ごろはあつれきが目立つ。騒ぎになっている気球もそのひとつだ。北米では戦闘機が撃ち落とした。

・安全保障上のリスクに備えるのは当然だが、無用なエスカレートは避けたい。上手い具合にいい塩梅で対処できる有能な人物はいないのだろうか。

 

春は名のみの寒風に負けじと、梅の花があちらこちらでほのかな香りを放っている。皇居・東御苑の一角にある「梅林坂」でも、明るく華やかな白梅と、ぎゅっと濃密なピンクの赤梅が目下競演中だ。訪日客だろうか、外国人のグループがさかんにカメラに収めていた。

梅は中国が原産だ。愛でる風習も中国から伝わったとされる。清朝期に出版された園芸書「秘伝花鏡」には、梅の香りを保存する方法が紹介されている。開きかけのつぼみを冬の間に切り取り、蝋づけにしておく。夏になってからお湯で戻せば、鮮やかに花がほころび芳香が立つ。何とも優雅ではないか。

古来日本をはじめ世界に豊かな文化を送り出してきた中国だ。なのに近ごろはあつれきが目立つ。騒ぎになっている気球もそのひとつか。ローテクな飛行機器とはいえ、撮影や通信傍受といったスパイ機能が疑われている。北米では戦闘機がミサイルで撃ち落とした。日本も急きょ、撃墜を視野に武器使用基準を見直した。

安全保障のリスクに備えるのは当然だ。一方で民間気球が想定外に迷走する例もあるようだ。無用なエスカレートを避ける知恵が要る。物事のうまいぐあいをいう「塩梅」は中国由来の言葉で、古典「書経」では政治課題を適切に処理できる有能な人物をも指したといわれる。あちらの国にもこちらの国々にも、まだいるだろう。