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近所のホームセンターに行ったら、防犯グッズの品ぞろえがずいぶん増えていた。目がくらむ光量のセンサーライトに、出先からスマホで見られるライブカメラ、窓が開くと鳴るアラームも。「あなたの家、もう対策済みですか?」。煽(あお)り気味の店頭ポップに少し焦る。

金目のものなど何もなくても、荒っぽい押し込み強盗の話題が続けば不安が募るのもやむなしだろう。関東などを舞台にした広域強盗事件はフィリピンからの強制送還組に加え、一部の実行役とみられるグループも逮捕された。ただSNSを駆使し、メンバーを入れ替えながらの犯行は相当に巧妙だ。なお全容はみえない。

日本の犯罪情勢はここしばらく「体感治安はあまり良くないのに、刑法犯の認知件数は戦後最少」という状況が続いてきた。ところが2022年は件数も20年ぶりに悪化した。新型コロナを巡る行動制限の緩和が響いたという。まだピーク時の4分の1以下の水準とはいえ、底を打ってさらに増えるようだとまずい流れだ。

秩序による束縛感がいたるところにあり、誰もその舞台から降りない――。国際的な警察研究者のデイビッド・ベイリー氏は1990年代初め、日本の治安の良さを著書「新・ニッポンの警察」でこう分析した。ネットがその縛りを解きつつあるのか。ここらで食い止めたい。要塞化した住宅ばかりの社会は息苦しかろう。