3/2 中国人女性、無人島を購入

・中国人女性が突然、沖縄の無人島を「購入した」と発信した。先方では「領土が増えた」との声もあるようだ。

・今や投資も消費も、お隣の大国の動向抜きには語れなくなっている。政府は事態を注視するというが、後手に回れば国の浮沈にもかかわる。

 

「沽券にかかわる」の沽券とは、元は土地などの売買証文を指した。江戸の昔、町人の不動産取引には名主や「五人組」のチェックが入った。取引内容を複数人で確認したわけだ。パスすれば沽券に承認印がもらえる。それが転じて、信用や体面の意になったという。

沽券を基に物件情報を一覧できる地図も作られた。東京の中央区立図書館に所蔵されている古びた写しを眺めた。地主はどこの誰兵衛で、地価は何百両でといった詳細がぎっしり詰まっているのに驚く。区教育委員会によれば、こうした書類は今でいう登記簿や課税台帳の機能も持ち、町全体の責任で管理されていた。

そんな綿密な目配りは、大量の取引が日々行き交う現代では望むべくもないか。中国人女性が突然、沖縄の無人島を「購入した」と発信した。先方では「領土が増えた」との声もあるそうだ。取引が適法でも、静かに土地を買われれば不安がつのる。政府は「関連動向を注視する」という。後手に回らなければいいが。

折しもきのうは中国からの水際対策が緩和され、空港で訪日客が喜ぶ様子も伝えられた。投資も消費も、今やお隣の大国の動向抜きには語れない。なのに安全保障環境は緊迫の度合いを増している。先行きの不透明感がどんどん濃くなる中、どれだけ適切に事態に対処できるか。国の沽券にとどまらず、浮沈にもかかわる。