3/5 マラソンブーム

ラソンブームが起きている。宴席な旅行の減少に在宅勤務が重なり、ストレス発散と健康維持のため身近な場を走る人が増えたという。そして中断していた大会が再開し、皆と一緒に走りたいという思いが高まっているようだ。独りだが孤独ではない、適度な距離感も魅力の一つだ。

 

ラソンランナーは走りながら何を感じているのか。その一端を描いた小説が英アラン・シリトー著「長距離走者の孤独」だ。主人公は非行から保護教育施設に入れられた少年。走ることの才能に施設の責任者が目をつけ、全国大会に出場するために冬の早朝練習が始まる。

少年自身のためより施設の名誉を求めての指名だと主人公は考える。反抗心は消えないが自然の中を走る魅力は少年の心をとらえていく。気分を壊す相手も、うるさく命令するボスもいない。「走ってる間はとてもよく考えごとができる。(中略)ずっといろいろ学べる」。これこそ人生だと少年は思う。

きょう東京マラソンが開かれる。新型コロナウイルス禍での中断などを経て、昨年春から一般参加が復活した。天候次第ではあるがきょうの大会も多くのランナーが楽しむ場になるだろうか。日経ヴェリタスが先日掲載したランニング市場の特集によれば、新型コロナ禍はマラソン愛好家の増加を後押ししたという。

宴席や旅行が減少したのに在宅勤務が重なり、ストレス発散と健康維持のため身近な場を走る人が増えた。中断していた各地の大会が再開し、皆と一緒に走りたいという思いが高まっているそうだ。走る間、対話相手は自分の心だけ。しかし周りを見れば仲間がいる。独りだが孤独ではない。そんな適度な距離感も魅力の一つか。