6/14 解散のタイギ

ニュースで「タイギ」を耳にする機会が増えてきた。「早期の衆院解散には大義がない」「内閣不信任案が提出されたら大義になる」。通常国会の会期末を前に、永田町に解散風がそよぎ始めたからだろう。この風が吹くと、しばしば「大義」のあるなしが議論になる。

手元の辞書を開くと、「人間として踏み外してはならない大切な道」「重要な意義」とあった。「大義親を滅す」といえば、国家や君主の大事のためには肉親でさえ顧みない、の意味である。選挙で選ばれた衆院議員を全員クビにするという重い決断。とはいえ、辞書の意味に照らせば、少々大仰な気がしないでもない。

衆院の解散は首相が決める。過去にも自党が有利なタイミングを見計らって行使され、駆け引きの材料になってきた。「伝家の宝刀」を抜こうか、抜くまいか。でも「選挙に勝てそうなので解散します」とも「準備が間に合わないので反対」とも言えない。本音を糊塗するには使い勝手がいい2文字なのかもしれない。

たまに混同を見かけるが、「義」ににんべんをつけた「大儀」の意味は異なる。語源は「重要な儀式」、転じて「骨が折れること」「費用がかかること」を指す。待ったなしの少子化対策や安全保障。財源をどうするか、道筋は。骨が折れるが避けては通れない難題だ。議員のみなさん、こちらのタイギもお忘れなきよう。