2/9 トンデモ和食

バーベキューソースがかかった天ぷら、フルーツ入りの巻きずし、つゆがひたすら甘いうどん。海外のレストランで、こういう料理に出くわした人は少なくないだろう。誰が呼んだか「トンデモ和食」。日本人の想像に及ばぬ「日本の味」が、昨今は世界中にある。

これは一大事とばかり、腕利きの料理人が現地に乗り込んでニセ物を成敗。そんなテレビ番組があったわけだから、食文化はいたくナショナリズムを刺激するわけだ。世論調査大手のユーガブが世界17ヵ国・地域でイタリア料理の食べ方の是非を尋ねたところ、やはり本場のイタリア人は「邪道」を大いに嘆いている。

もっとも受け入れがたいのは「パスタにケチャップをかけること」で、約9割は容認せずの回答だったという。つまり、われらが昭和風ナポリタンなどは論外らしい。しかし、あれはひとつの日本料理なのだ。同様に、海外の不思議な和食だって味の自在なフュージョンに違いない。料理とは、なかなか奔放なものなのだ。

そういえば数日前の小欄では、岩手県花巻市の「ナポリかつ」に触れた。山盛りナポリタンの上にとんかつが鎮座した異形の一品は、本場から見たらトンデモかクールか。この2つの価値観は、じつは背中合わせかもしれない。天ぷらにバーベキューソース、やってみると意外に悪くない。ケチャップはさて、どうだろう。