2/23 バットマン

広島県福山市のホームページを見て驚いた。こんな告知が載っている。米コミックの人気キャラクター、バットマンの舞台である架空の都市「ゴッサム・シティ」と、友好都市提携を結んだのだ。1939年にヒーローが誕生して以来、こうした事例は初めてだという。

なぜか。福山城がある場所はかつて蝙蝠(こうもり)山と呼ばれ、市章はコウモリを図案化したものだ。なるほど、バットマンのシンボルに似ている。今年は福山城築城400年。近く映画の新作が公開されることもあり、提携と相成った。市長さんは「福山に万が一のことがあったら、バットマンが駆けつけ守ってくれる」と喜んだ。

歴史をひもとけば、第二次世界大戦下の43年に公開されたバットマンは、日本のスパイを悪役にした。日米開戦後、米国は日系人を敵性外国人とみなし、強制収容する。その根拠となった大統領令から80年を迎えた先週、バイデン米大統領は「米国史の最も恥ずべき章の一つだ」と述べ、過去に学ぶことを約束した。

今春から高校で、日本と世界の近現代史を一体的に学ぶ新科目「歴史総合」が必修となる。ある教科書は「戦争に協力するアニメ」と題した大型コラムを設け、メディアを巻き込んだ総力戦の実相を伝える。近隣国にかいらい政権を樹立し、軍を派遣する。新しい教科書は、そんな過去も深掘りする。歴史は繰り返すのか。