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東京・豊島のトキワ荘跡近くの住宅街にそのモニュメントはある。4人のキャラクターがにっこり笑うほのぼのとしたイラスト。描いたのはよこたとくおさん。先日、短い訃報記事が載った。85歳。同じ時期をトキワ荘で過ごした藤子・不二雄Aさんの悲報の翌日である。

その名や代表作「マーガレットちゃん」は知らずとも、一度は作品を目にしているのではないか。偉人の伝記や学研の「ひみつシリーズ」を多く手掛け、「学習漫画の第一人者」と呼ばれた。「漫画なんて読んではダメ」と言われた時代でも、勉強なら別。新たな知識を教えてくれた先生とでも言えようか。

中学卒業後、福島県から上京。工場で働きながら漫画を描いた。30代で学習漫画にてんじてからは出版社が用意した歴史や科学の資料を懸命に読み込み、原稿用紙に向かったという。「おかげで高校卒業くらいの実力はついたと思う」。生前のインタビューでこう語っている。目の前の仕事と真剣に対峙する姿が浮かんでくる。

隣人だった藤子さんや石ノ森章太郎さん、赤塚不二雄さんらが漫画をメジャーにした巨星だとすれば、よこたさんは学びの場や日常生活に溶け込ませた存在だっただろう。幾多の輝きがあってこそ夜空は美しい。誰にでも活躍できる場所はあるはず。教え子にそんなエールを残し、旅立っていった気がしてならない。