6/28

夏の盛り、紀州の殿さまが大阪の豪商を訪れることになった。趣向を凝らしたもてなしに知恵を絞る。ガラス製のこたつに水を張り、庭には雪景色。さらに須磨(いまの神戸市)の風を木箱に詰めて運び、涼んでもらいましょう。上方落語の「須磨の浦風」である。

豪勢な天然のエアコンといったところか。これは奇想天外な創作なれど、聞けばひんやりする気もする。高温多湿の時期を乗り切ろうと、先人は暮らし方の工夫を凝らした。打ち水、風鈴、暑気払いの料理。「家のつくりやうは、夏をむねとすべし」と書いたのは兼好法師。冬の寒さに比べ暑さを乗り切るのはより難しい。

ここ数日、そんな工夫も一瞬で溶かしてしまうような炎暑である。通勤途中に周囲を見渡すと、ほとんどが半袖姿だった。それでもつらそうだ。江戸時代に比べて平均気温が2〜3度あがったという説も聞く。そこに追い打ちをかけるのが電力逼迫。室温を何度に設定すべきか。リモコンを手に悩む人が多いかもしれない。

関東などではきのう、記録的な早さで梅雨明けが宣言された。これからやってくる本番が心配だ。電力だけでなく、水不足も懸念されている。地球規模の気候変動が相手とあらば、これまで以上に知恵と技術を集めて立ち向かうしかないのだろう。さて、どこかに高原のさわやかな風を運んでくるような妙技はないものか。

 

ここ数日、さまざまな暑さ対策の工夫を一瞬で溶かしてしまうような炎暑である。関東などではきのう、記録的な早さで梅雨明けが宣言された。これからやってくる本番が心配だ。電力不足も追い打ちをかける。さらには水不足も懸念されるとか。地球規模の気候変動が相手とあらば、これまで以上に知恵と技術を集めて立ち向かうしかないのだろう。さて、どこかに高原のさわやかな風を運んでくるような妙技はないものか。