7/18

誰にでも、思い出の写真があるはずだ。初めて生まれた我が子のカエデの葉のように小さな手のひらを、クローズアップで撮った1枚。いまは亡き親族のセピア色の笑顔。写真は過ぎ去った日々の記憶を喚起してくれる。来し方や行く末に、思いをはせるよすがなのだ。

高校時代、カメラ好きの伯父から「ニコマートEL」を譲り受けた。ニコンの一眼レフの入門機だ。もちろんデジタルではなく、フィルム用である。そのとき初めて、絞り値によりピントが合う範囲を調整できることを知った。背景をぼかすか、全体をくっきり写すか。多様な表現が可能な魔法の箱に夢中になったものだ。

ニコン一眼レフカメラの開発を停止する。先日、こんなニュースに接した。手軽さが受け市場で主流になりつつあるミラーレスカメラの開発に経営資源を集中する、と報じられた。年々、画質や操作性が進歩するスマートフォンが圧倒的に便利だ。が、スマホにはない機能を充実させ、カメラの生き残りを目指すという。

ニコマートで撮りためた写真で、今も手元に置く1枚がある。かっぽう着で針仕事にいそしむ亡き祖母の写真だ。当時、交わした会話の断片がよみがえる。最近、手にしたミラーレスカメラは、画像を簡単にスマホに転送できる。時代にあった技術を開発し、人々の暮らしに寄り添う。なんて素晴らしい仕事だろう。

 

ニコン一眼レフカメラの開発を停止する。手軽さが受け市場で主流になりつつあるミラーレスカメラに経営資源を集中するという。年々、画質や操作性が進歩するスマートフォンが圧倒的に便利だ。が、スマホにはない機能を充実させ、カメラの生き残りを目指すという。誰にでも思い出の1枚があるはずだ。最近のミラーレスカメラは簡単に画像をスマホに転送できる。時代にあった技術を開発し、人々の暮らしに寄り添う。なんて素晴らしい仕事だろう。