7/19

夜空の星を、しばし見上げる。広い広い宇宙へのおそれ、小さいけれど二つとない命の重みなど、さまざまな感慨がわいて来るに違いない。9年前のきょう、米欧が共同開発した探査機カッシーニが、太陽を隠したかたちの土星の近くから、遠く地球を撮っている。

この時は、あらかじめ撮影が世界標準時21時半前後と予告された。「この時間に空を見上げて祝福の笑みを浮かべて」と担当の科学者がメッセージを投げかけている。むろん、探査機が笑顔を捉えるはずもない。宇宙の中の地球という自覚を深めてほしいとの趣旨だったようだ。各国で多くの人が賛同、参加したと伝わる。

実際に写った地球は土星の輪のかなたで、青い、ちっぽけなドットである。消え入りそうな一点を改めて眺めてみた。ここに約80億人が暮らし、気候変動で環境がむしばまれつつある中で、国境をめぐる武力衝突が起き、貧困や差別にあえぐ大勢の人がいる。そう考えると星やヒトの未来に対して暗い気持ちになってしまう。

一方で、十数億キロの場所から画像を送る技術に達したことを誇らしく思う。種々の難題も解決できるのでは、そんな希望も兆すのである。「地球が微笑んだ日」。科学者の呼びかけから9年前のきょうをこう呼ぶという。写真にも同じ名がつく。最近では泣きっ面がちの地球を笑顔にするために何が必要か。考え続けたい。

 

9年前のきょうは「地球が微笑んだ日」と呼ばれる。米欧で共同開発した探査機カッシーニ土星の近くから地球を撮影した。撮影される時間に合わせて「空を見上げて祝福の笑みを浮かべて」と呼びかけられた。写ったのはちっぽけな青のドットだったが、ここに80億人が暮らす。十数億キロ離れた場所から画像を送る技術に接すると、種々の難題も解決できるのでは、という気がする。最近は泣きっ面がちな地球を笑顔にするために何が必要かを考え続けたい。