11/16 不要なルール

「ヘアドネーション」という言葉をご存じだろうか。小児がんなどの治療で髪の毛を失った子どもたちに、医療用のかつらを無償で提供する非営利活動だ。「男子だって役に立ちたい」。そんな志で髪の毛を伸ばす中学生の兄弟を昨年、取材した。笑顔がまぶしかった。

「男子の前髪は眉まで。横の髪は耳にかからないこと」。兄弟が通う学校にそんな規則があった。でも、相談したところ学校は長髪を認めてくれた。兄弟は毛髪を提供し、地域の社会奉仕団体から表彰された。「ブラック校則」という言葉が定着して久しい。そのルールは本当に必要なのか。見直しの機運が高まっている。

プロ野球日本ハムが来春に開業する新球場が、公認野球規則を満たしていないことが分かった。規則は本塁からバックネット裏フェンスまでの距離を約18メートル以上と定めるが、15メートルほどしかなかったのだ。さて、どうするか。関係者が協議し、来季の球場使用は認めることに。ただ、規則に沿うよう将来、改修するという。

米大リーグにも同様の規則がある。が、「推奨される」との書きぶりで、観客が臨場感を楽しめるよう距離基準を短くする球場もあると聞く。今回の騒動は日ハムの不手際だ。一方、北の大地の新球場をファンや選手はどう評価するのか。現場の声を踏まえ改めて議論する道はあろう。そのルール、厳守が必要なのか、と。