2/28 サバ缶ショック
・サバ缶の値上げが相次いでいる。昨今の物価高騰に加え、水揚げ量もだいぶ減っているそうだ。
・サンマも不漁に苛まれている。そしてサバも。庶民に身近な味が次々と消えてしまうのではないか。そんな不安につつまれる。
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大阪や八坂さか中鯖一つ大師にくれで馬の腹病む。こんな文句を唱えると腹痛がやむという俗信がある。起源は次の通り。塩サバを運ぶ馬子がお坊さんから「一匹くれ」と乞われ、無視すると馬が動かなくなった。思い直して与えるとあら不思議、元気になった。
お坊さんの正体は弘法大師である。お経を唱えて海に離すと塩サバは生き返り、泳いで逃げた、と「サバの文化誌」(田村勇著)につづられている。この青魚は信仰の場によく登場し、お盆にサバを食べる風習も日本各地に残る。それほどに私たちと付き合いが長いのに、食卓から遠ざかりつつあるようで気をもんでいる。
今年に入ってサバ缶の値上げ発表が相次ぐ。販売を一時中止したメーカーもある。昨今の物価高騰だけでなく、水揚げ量がだいぶ落ち込んで、サイズも以前より小さくなったそうだ。ネット上には「サバ缶ショック」の嘆き節が飛び交う。近所のスーパーの缶詰コーナーをのぞいてみたら、水煮も味噌煮も売り切れだった。
1ヶ月半前の本欄でサンマの不漁を取り上げた。そしてサバよ、お前もか。はっきりした原因は分からぬようだが、海水温の変化などが取り沙汰されている。海の中で何か異変が起きているのか。庶民に身近な味が次々と消えてしまうのではないか。つらつら考えるにつれ、お腹が痛くなりそうな不安につつまれる。