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アンネ・フランクが生まれたのは1929年のきょう、6月12日だ。生きていれば93歳。世界恐慌の年に生をうけ、思春期は戦争のさなかだった。わが国でいうところの「昭和ひとけた」世代である。同年生まれの著名人は、作家でいえば向田邦子さん、加賀乙彦さんらだ。

アンネの日記」は42年、13歳の誕生日に始まる。ちょうど80年前だ。「あなたになら、これまでだれにも打ち明けられなかったことを、なにもかもお話しできそうです」。父親が誕生祝いにプレゼントしてくれた格子柄の日記帳につづった最初の言葉である。「あなた」とは、キティーという名前の空想上の親友なのだ。

ナチスの迫害を逃れるためにオランダ・アムステルダムの隠れ家に身を潜めたアンネは、親友に語る。「わたしは思うのです。いつかはすべてが正常に復し、いまのこういう惨害にも終止符が打たれて、平和な、静かな世界が戻ってくるだろう、と」。でも、日記は44年8月1日で終わる。密告により、収容所に送られた。

「人間の本性はやっぱり善なのだ」の記述が切ない。なぜ、そう信じたのか。ミープ・ヒースというオーストリア出身の女性が食品や書籍を差し入れ、励ましてくれた。そして、警察が踏み込んだ部屋に残された日記を発見し、ひそかに保管する。戦火は今も絶えない。が、彼女のような人間が世界を照らしてくれる。

 

1929年のきょう、アンネ・フランクが生まれた。世界恐慌の年に生をうけ、思春期は戦争のさなかだった。有名なアンネの日記が始まったのは42年、13歳のときだ。日記にはこうつづられている。「わたしは思うのです。いつかはすべてが正常に復し、いまのこういう惨状にも終止符が打たれ、平和な、静かな世界が戻ってくるだろう、と」。「人間の本性はやっぱり善なのだ」。なぜ、そう信じたのか。日記を発見しひそかに保管していた、かつてアンネを支援した女性がいる。今も戦火は絶えないが、このような人が世界を照らしてくれる。