6/25 推し活の魅力

早稲田大学の演劇研究部が「推し活!展」という催しを開いている。アニメの登場人物や芸能人などを熱心に応援することを、「誰かを推す活動」から推し活と呼ぶようになった。若い人の自己紹介では自分の推す対象を語る人も多い。それだけ普及しているわけだ。

同展示会によれば、推しという行為そのものの歴史は古い。江戸時代の歌舞伎には連というファン集団があった。原節子の写真をあしらったうちわはアイドル応援グッズを思わせる。仲間と親しくなりやすいのは昔も今も同じだ。展示会は見学者らの声を掲示しており、利点として目立つのはやはり友達ができることだという。

大阪のユニバーサル・スタジオ・ジャパン東京ディズニーリゾートは今年後半、繁忙期の大人1人の入場料(1日券)を1万円超に引き上げる。推しのキャラクターに会えるからとシニア層にもリピーターは多い。受け身で楽しむだけでなく、仮装やダンスなど来場者が仲間と参加できるメニューの豊富さも共通する。

社会学者の中山敦雄さんは著書「推しエコノミー」で、推し活は好きな気持ちの競い合いであり、日本の消費者は世界の先端にいると説く。友人作り、気分の若返り、外出機会の創出などの効果を期待し高齢者施設と大手企業の共同研究も始まった。作品に続き応援の作法を「輸出」する日もくるかもしれない。