5/7

車が走ればどこかで渋滞が起きる。万国共通であろう。2017年に日本でもヒットした米映画「ラ・ラ・ランド」はハイウェー上のシーンで幕を開ける。動かない車列。突然運転席を降りた女性が軽やかに踊り出し、バンドも現れて路上は華やかな舞台のように。

あんなに楽しければ、とぼやいた人がいたかどうか。おととい、各地の高速道路は車であふれた。行動制限のない大型連休は3年ぶり。赤いテールランプがどこまでも続く映像を久しぶりに見た気がする。待ちに待ったレジャーや里帰りの余韻にひたりつつ、うんざりする時間を過ごした人も多かったのではないだろうか。

自動運転車が普及すれば渋滞が大幅に緩和されるといわれる。1台の車が急な車線変更をしたり速度を落としたりすると、後ろの車がブレーキを踏み、さざ波のごとく後方に伝わったすえに最後は止まる。これが自然渋滞のメカニズムである。機械ならブレーキのタイミングが遅れず、後続車の速度低下を招きにくいという。

逆に「悪化する」という説も聞く。運転の負担が減り、車を利用する機会が今より増えるためらしい。優れた技術であろうと人間の心や行動までは制御できないということかもしれぬ。ラ・ラ・ランドには「夢のような国」という意味もあるという。道路上をストレスなく安全に移動する。夢が現実になるのはいつだろう。