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大手企業の社員が、一時的に仕事を離れ新興国で社会活動に従事する。そんな留学ならぬ「留職」というユニークな研修の機会を、あるNPO法人が企業向けに提供している。これまで約40社から200人を超す社員が参加し汗を流したが、コロナ禍で中断した。

今年秋、安全管理に配慮しつつ2年半ぶりに派遣を再開する。記念の催しがオンラインで開かれ、過去の参加者が体験談を披露した。派遣先の団体で「私はどの問題を解決したらいいですか」尋ねると、答えは「まず、それを見つけて下さい」。課題を自ら発見する姿勢を学べると、NPO法人の代表者は語る。

コロナ禍で経済活動だけでなく、さまざまな社会・文化活動も制約を受けた。留職などの海外体験だけではない。地域住民による交流会が「密になる」との理由で中断した。病を抱えた人やその家族の勉強・相談会も多くが中止を余儀なくされた。同じ場にいることが生む刺激や安心、共感はオンラインだけでは得にくい。

海外渡航は再開したが帰国時の手続きの問題もあり、まだかつてほど気軽には行きにくい。国内では新規感染者が世界最多になり、大阪では高齢者に行動制限を呼びかけた。平時の環境が戻らず、成長や支え合いの場がなかなか取り返せない。長引くコロナ禍のなか、こうした欠落をどう補うか。目配りと工夫がいる。